谷田博幸『ロセッティ―ラファエル前派を超えて』(平凡社.1993)レビュー!

た行の著者

概説

始めに

今日は谷田『ロセッティーラファエル前派を超えて』についてレビューを書いていきます。

目次(本文より抜粋)

序章 初期ヴィクトリア朝の社会と美術
第1章 ラファエル前派主義
第2章 近代生活の主題
第3章 中世の愛の理想
第4章 ヴェネツィアの美の理想
第5章 愛と死の女神たち
終章 画家のモデル

ヴィクトリア朝文学の背景

この作品はヴィクトリア文学の前提となる社会史的展開について書いています。タイトル通りD.G.ロセッティの遍歴、文学を中心的テーマとしていますが、基本的にはロセッティについて書いたものというよりは、その文化的背景となっているヴィクトリア朝の世相史が中心的内容となっています。

性、道徳、近代のオルタナティブとしての中世、古代

 本書は古典主義者ロセッティの文化的背景を掘り下げていきます。当時の性をめぐるモラルを踏まえ、古代がヌードを展開するための舞台たりえた背景を描いていきます。また道徳的規範のロールモデルとして中世、中世騎士道が発見されていった経緯が書かれています。つまるところ、なぜ古典主義者としてのロセッティの作風が展開されたのか、その社会史的背景を考えています。

扱うテーマは狭い。D.G.ロセッティ伝ではない

ヴィクトリア朝時代の社会史を展開しているものの、扱うテーマはごく限定的です。当時の社会史全体を見通すには別の著作をあたる必要があります。

また、D.G.ロセッティの評伝的なものをタイトルから期待しますが、そういう趣の著作ではありません。

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