PR

19mの巨大タコはモササウルスに勝てない?最新の発見への疑義

生物学
記事内に広告が含まれています。

はじめに

 Scienceに掲載された白亜紀の巨大タコの論文が話題になっています。ここでこの論文の仮説に対する疑いを書いていきます。

白亜紀のタコは最大19m 研究 – Yahoo!ニュース
1億年前のタコは最大19メートルまで巨大化する史上最大の無脊椎動物だった可能性があると、北海道大などの研究チームが発表した。タコのくちばしを構成する大きな顎の化石を発見し、獲物の硬い殻をかみ砕いた痕

コンテンツ

軟体動物の限界

 軟体動物って筋組織が静水圧骨格な構造上、身体制御には脊椎動物以上に優れるけど力伝導効率低いせいでパワーは控えめになるから、ダイオウイカも中型の魚を狙う感じでマッコウクジラとかもっと小さい動物に捕食されるので、白亜紀環境で巨大タコいても食物連鎖の頂点に立てたかなという気はします。多分、ケツァルコアトルみたいな感じで巨大化は防御適応で進んでいて、大きさの割には弱かったと思います。


 実際、ダイオウイカは大きさの割に数メートル級の魚は捕まえるの困難で中型・小型生物狙ってて、パワーは弱いし人間にも力負けしかねません。軟体動物は衝撃に弱いから打撃も致命的です。軟体動物は創作のキャラだと打撃に強くて切断以外物理ダメージ無効だったりするけど、実際は衝撃を分散する構造ないから人間の水中パンチでも大ダメージです。

 多分、咬合力の高さからしても中〜大型の貝類(アンモナイトなど)・甲殻類や中型魚を捕食してて、現代のタコの噛む力も貝類、甲殻類向けでしょう。あとベレムナイトとかの軟体動物は狙えそうだけど、モササウルスとは勝負にならなそうです。マッコウクジラはダイオウイカに突進して気絶させて捕食するけど、軟体動物では大型脊椎動物の体当たりで内臓潰れちゃうので、モササウルスがぶつかったらそれで失神か死にそうです。

ダイオウイカと適応

 ダイオウイカも深海という特殊条件で巨大化が適応度高めたけど、正直コストに見合ってないです。そこまで大きくなくていい。深海は進出者の少ない、競争圧力や捕食圧力の少ないニッチ環境だから、妥協的な適応者でも淘汰されにくいだけで軟体動物は基本的に巨大化が適応度高めにくいから、ダイオウイカもニッチ環境に妥協的に適応したから淘汰されにくいだけで、深海にも最適化されていません。

 水中だと音優位の環境で、それか嗅覚です。光はある程度の水深で減衰が顕著で遠くまで伝わらないからいくら目が良くても視界悪いし、音は空気中以上の速さで伝導するうえに減衰しません。マッコウクジラも音でダイオウイカ探しに来るけど、結局大きいと出る音も大きいです。ダイオウイカは軟体動物の強みである擬態・柔軟性・隠蔽性を全部失って、弱点である衝撃耐性のなさ・音響的被視認性だけが残ったまま、エネルギー効率にも巨大化で顕著な問題を抱えているのに、捕食圧の少ない深海にいるおかげで淘汰されなかった感じなのです。

スケーリングの問題

 軟体は打撃効かなそうだけど、豆腐みたいな感じで反発力ないから殴る方は痛くないけど殴られる方は中からぐちゃぐちゃになります。体積は長さの3乗で増えるので2倍の大きさになると体重は8倍になるけど一方筋肉の断面積は2乗でしか増えないのでパワーは4倍にしかならないものの、脊椎動物だと骨格で補えます。軟体動物だと静水圧骨格の力伝導効率の低さが巨大化しても変わらないので、自重増加に対してパワー増加が追いつかないから、ダイオウイカが2倍に大きくなってもパワーさして変わらないし防御脆弱なせいでステゴロの人間に負けうるのは多分変わらないです。

 骨格の制約を無視して巨大化するのはケツァルコアトルとかメガネウラとか大抵小型捕食者回避する防御的適応っぽいけど、同じ大きさの脊椎動物とは勝負にならないし、小〜中型の低機動力の生物か死肉しか狙いにくいです。


 報道で誇張されてるのかと思ったけど、どうも元の論文から大きいし噛む力強かったから無双できたみたいな論旨で、骨格や筋肉の比較とかはないっぽいです。私自分より小さいチンパンジーやツキノワグマ、イノシシ、ピットブルに素手で勝つ自信ないです。ゴリラだって人間と同じサイズだけど腕相撲で勝てる人いません。ゴリラと人間が同サイズでも全然強さが違うのに、脊椎動物と軟体動物が同サイズだから同等の捕食者だったという論理は、同じ脊椎動物内でも成立しない話です。

モササウルスに勝てる?

 モササウルスに勝つにはワンパンでほぼ即死する猛者相手に、絞める力も数十キロ程度の腕で巧みに牽制し、自分よりも圧倒的にスピードと強度やパワーで上回る相手の急所に自慢の武器である嘴で噛み付いて即死させないといけません。7mでも19mでも静水圧骨格の制約、締め付け力の限界、衝撃耐性のなさ、機動力の低さがサイズに関係なく共通するから、アンモナイト、甲殻類、中型魚、ベレムナイトを狙う中堅捕食者で、モササウルスや大型首長竜には捕食される側、という食物連鎖の中間層なのは変わらないと思います。


 動物虐待だけど、例えばイカって漁師が潰れないように加減して叩いても即死しちゃうくらい衝撃に弱くて、タコもそれより外套膜が厚い分少しつよいくらいなので、大きくなってもそれは変わらないです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました