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三大欲求とは
「三大欲求」は日本でよく使われる表現で、人間の基本的な生理的欲求の代表格を指します。一般的には食欲、性欲、睡眠欲です。
「三大欲求」という言葉は科学的な厳密分類ではなく、俗称的・教育的な表現です。心理学的には、マズローの欲求階層説ではこれらは「生理的欲求」に含まれます。
性欲については、文化的・教育的配慮から「三大欲求」に含めず、代わりに「排泄欲」や「生存欲」を挙げる説もあります。
三大欲求自体はマズローの概念ではないものの、生理的欲求とそれがよく結び付けられます。生理的欲求には性欲が含まれるものの、欲求段階仮説のピラミッドポンチ絵では、教育的配慮などからsexがオミットされることがあります。
マズローの欲求段階説
マズローの欲求階層説の特徴は、5段階に整理されたモデルで、①生理的欲求 ② 安全欲求③ 所属・愛情欲求④承認欲求⑤自己実現欲求です。下位の欲求がある程度満たされないと、上位の欲求は出てこない、とされます。
ただ実証的裏づけが弱く、調査や実験で階層構造は明確に確認されていません。
文化差を考慮しておらず、非西洋社会では「集団への所属」や「社会的義務」が生理的欲求より優先される場合もあります。個人差もあり、貧困状態でも芸術活動を優先する人がいるなど、階層的に並ぶとは限らないです。
マズローのヒューマニスティック心理学の位置
マズローはフロイト(精神分析)や行動主義に対して、人間をより全体的に、肯定的に理解するアプローチを目指しました。それがヒューマニスティック心理学です。
人間には「成長・自己実現」へ向かう本来的傾向があるとします。カール=ロジャーズの「来談者中心療法」も同じ流れです。
マズローやロジャーズは臨床的洞察や哲学的立場から理論化しており、統計や実験研究の裏付けは弱いです。そのため「客観性・再現性に欠ける」と批判されてきました。
1960年代〜70年代にかけてブームだったものの、行動主義・認知心理学・神経科学の実証的研究に押され、アカデミックな心理学の中核にはならなかったのでした。
他方でロジャーズの「来談者中心療法」は、セラピー実践に強い影響を残していて、「共感・受容・自己一致」という考え方は、現在の心理臨床やコーチングにも受け継がれています。
ポジティブ心理学や自己決定理論への影響もあり、いずれも「人間の強みや成長志向を実証的に研究する」方向へ発展しており、ヒューマニスティック心理学の理念を実証的枠組みに移し替えたものと見なせます。



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