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ポパーの反証可能性
ポパーの 反証可能性は、科学理論を「科学」と「非科学(擬似科学)」とを区別するための基準として提案された概念です。
1930年代、論理実証主義の哲学者たちは「検証可能性」を重視して科学と非科学を区別しようとしました。しかし、どれだけ観察を積み重ねても理論を「絶対に真」とは証明できません。そこでポパーは、「検証」ではなく「反証」を重視する基準を打ち出しました。
ポパーはある理論が科学的であるとは、それが反証可能である(=経験的事実によって誤りとされうる)ことである、とします。たとえば「すべての白鳥は白い」という命題は、黒い白鳥が観察されれば反証可能です。「神は存在する」や「運命は必ず導かれる」は、どんな観察も反証に使えないため、非科学的です。
科学は「真理の確証」ではなく「誤謬の排除」によって進歩すると、ポパーは見たのでした。
批判的検討
実際の科学理論は補助仮説や理論的前提を組み合わせているため、単純に「観察と食い違った=反証」とはなりません(クワイン=デュエム問題)。
また反証可能性は自然科学の営みを「どうすれば科学らしいのか」という規範的観点から提示されたモデルであって、実際の科学史や科学実践を形式的に一般化した記述的理論ではありません。形式的一般化的な記述モデル(科学が実際にどう進むかを観察し、帰納して定式化する立場)とは異なります。
反証可能性は科学史の統計的分析や科学方法の経験的記述ではなく、もし理論が科学を名乗るなら、反証に耐える形で構成されなければならないという規範的ルールです。
その後の潮流
クーンは実際の科学史をみると、理論はしばしば反証を無視してパラダイム内で守られるとし、ポパーの基準は記述的には不十分とみました。
ラカトシュはポパー的規範を残しつつ、「研究プログラム」の進歩性/退行性で科学性を判定します。
ファイヤアーベントは規範的ルール自体に懐疑的で、「方法的アナーキズム」を唱えたのでした。



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