倫理,哲学

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マッキーの錯誤理論について解説。その歴史的意味と限界について

コンテンツ錯誤理論錯誤理論でマッキーがやろうとしたのは、単なる道徳懐疑論ではなく、むしろ当時の主流だった意味論・形而上学・自然主義の三者を同時に満たすための高度な調停でした。道徳言明は表面的には明らかに事実記述的で、推論にも量化にも条件文に...
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昆虫に感情はないのか?心はないけど感情はある?

コンテンツないのは心?漫画などで冷酷な悪人を「感情がない昆虫のようだ」と形容することがあるものの、この比喩は生物学的にも認知科学的にも不正確です。昆虫は情動が欠如しているどころか、ほとんどの行動がシステム1的な情動反応によって直接駆動されて...
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ツインアース仮説とスワンマンの外在主義。その論証としての瑕疵

コンテンツ双子地球説の問題 双子地球仮説は、どこから突っ込んでも論証としての体裁をなしていないようなものです。 まず何より、この思考実験は極端な形而上学的負荷を要求しており、現実世界の物理法則・文化史・生物進化・言語習慣といった膨大な因果連...
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可能世界論とその限界。クリプキのそれから確率論へ

コンテンツ可能世界論の限界可能世界意味論は、20世紀後半の形式的様相論を大きく発展させたものの、その方法論的前提は今日の観点からすると重大な欠陥を抱えています。最大の問題は、可能世界という概念が離散的で粗い理想化に依存しており、モダリティの...
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ビデオゲームの美学。意味論のすり合わせのなかで起こる再現

コンテンツビデオゲームの意味論 ビデオゲームは行為のシュミレーションとインタラクティブなフィクション性のハイブリッドな制度としての芸術で、内容は「メカニクス/フィクション × 統語論/意味論」の4層モデルで理解できるけど、各層はそれぞれ異な...
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メタ倫理とLLM。認知主義はそろそろきびしい説。

コンテンツ実在論、意味論的な考察 科学一般については、実践的実在論と構造実在論を組み合わせればほとんど説明が尽きるという感覚があって、ボイドのような実践的・適応的な意味での実在論は科学の領域ではうまく機能します。ただ、コーネル実在論のような...
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実践的実在論からボイドの構造的実在論へ。HPCとの接続可能性

コンテンツハッキングの介入主義ハッキングやデネット、パトナム後期の実在論は、実践的安定性に基づくプラグマティック実在論として緩やかに括れます。つまり、ある対象や概念が介入・操作あるいは予測という実践的な場面で安定して機能し、我々の行為や装置...
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生成AIに感じる違和感と依存。システム1と2について解説

コンテンツなぜAI絵がおかしい?人間がAIの画像生成やテキスト生成に言語化できない違和感を覚えるのは、単に審美的趣味の問題ではなく、人間のシステム1が統計的レベルに留まらず生成因果的に働いているからといえます。システム1は大量の入力の単なる...
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ナンシー=フレイザーのマルクス主義フェミニズム

コンテンツフレイザーの初期ナンシー=フレイザーの研究の中心は、社会的不正義の構造を分析する枠組みの構築にあり、とくに「経済的不平等(再分配)」と「文化的差別・尊厳の否定(承認)」の二つの次元を統合的に捉えるモデルです。 フレイザーの初期理論...
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命題的態度は救えない?心の哲学と制度論の命題的態度

コンテンツデネットの命題的態度デネットは命題的態度は心の中に文字通り存在するわけではないものの、人間行動を予測するためには便利な実践的実在だという立場をとっています。赤道のような完全なフィクションではなく、重心のようにモデル化のために導入さ...